甘い香りが漂う新居

男子大学生Aの場合

進学を機に始まる新生活。ワクワクと不安が入り混じる僕の胸の内をよそに、不動産巡りは難航していた。駅近で家賃が手頃な物件はどこも競争率が高く、内見すら叶わない。半ば諦めかけていたその時、路地裏の小さな不動産屋に目が留まった。

【運命の物件、あります】

そんな胡散臭い言葉を掲げた古びた看板。けれど、どこか惹かれるものを感じて、僕は店の扉を押し開けた。

中で迎えてくれたのは、柔和な笑みを浮かべた店主だった。僕の話を聞いた店主はすぐに「ピッタリの物件があります」と言い、鍵を差し出してきた。

「私がどうしても外せない用事があって…。鍵がありますので、ぜひセルフ内見して来てください」

紹介されたのは、駅から少し離れた静かな住宅街にある築浅マンション。内見に向かうと、白を基調とした清潔感あふれる室内。光がたっぷり差し込む窓、最新の設備。水回りまできれいで、まるで理想そのものだった。

「ここ、いいかもしれないな…」

満足げに部屋を見渡しながら歩いていると、不意に甘い香りが漂ってきた。花の香りのようでもあり、どこかお菓子のようでもある、不思議な香り。

「なんだ、この匂い……」

鼻腔を満たす甘さに体がぽかぽかと熱を帯び、やがて意識が遠のいていった。

―――目を覚ますと、私の視界には柔らかい光が差し込んでいた。

「あれ、私……寝ちゃったのかな?」

ぼんやりと天井を見上げながら、ゆっくりと体を起こす。細くて華奢な手が視界に映り込んだが、特に違和感はない。

「ここに決めた。契約しにいかないと」

ふと鏡に目を向けると、そこに映るのは見知らぬ女の子。いや、見知らぬわけじゃない。

鏡の中の私は、確かに“私”だった。肩にさらりとかかる艶やかな髪、涼しげな目元。唇にはほのかなピンク色が宿っている。学生時代からの癖で、無意識に髪を耳にかけた瞬間、思わずクスリと笑ってしまった。

「ちょっと寝ぐせついちゃってるかな……」

そうつぶやきながら鏡を離れる。少し頭がぼんやりするけれど、それも寝起きだからだろう。私は特に気にせず、スマホを手に取った。

「女子大生としての毎日、楽しみだな」

私の胸は期待でいっぱいだった。上書きされ消された、男としての自分の記憶は、もう思い出す事は無いのだろうか…。


男子大学生Bの場合

「久しぶり!お前も東京に来たんだよな!」

俺は地元の友人に連絡をした。小・中と一緒の学校だった幼馴染。高校は別々になって少し疎遠になっていたが、大学で上京したと聞いて連絡をしてみた。

「近いうちに飯でも行こうぜ!」

そう打ち込むと、すぐに返信が来た。

「いいね! ちょうど私も会いたかったんだ」

……“私”?

少し違和感を覚えたが、久しぶりの再会に期待を膨らませながら、待ち合わせ場所へと向かった。

駅前のカフェに着くと、そこには見知らぬ女性が座っていた。

肩まで伸びたサラサラの髪、上品なワンピース。涼しげな目元に、ほのかに色づいた唇。どこからどう見ても綺麗な女の子だ。

……だが、その顔立ちには、どこか覚えがあった。

まさか、いや、そんなはずはない。俺が会うのは、あのガサツで、男らしいアイツのはずだ。

「もう、遅刻だよー!遅かったね!」

彼女が俺に向かって微笑む。

その瞬間、背筋がゾワリとした。

「えっ……お前……?」

俺の驚きをよそに、彼女はまるで当たり前のことのように微笑んだ。

「なに? 久しぶりに会うのに、そんな驚いた顔しないでよ」

「いや、驚くだろ! どういうことだよ、お前……まさか、性転換手術でもしたのか?」

冗談めかして言ったが、彼女はきょとんと首を傾げた。

「何言ってるの? 私、最初から女だけど?」

冗談にしては違和感がありすぎた。まるで記憶ごと塗り替えられているような……。

「とにかく、詳しく話を聞かせろよ」

そう言うと、彼女は少し考えた後、にっこりと微笑んだ。

「じゃあ、私の家に来る?」

彼女の住むマンションは、静かな住宅街の中にあった。

ドアが開くと、ふわりと甘い香りが鼻をくすぐる。どこかで嗅いだことのあるような、けれど妙に心地よい香り。

「遠慮せずに座って」

リビングへと通され、ソファに腰を下ろした瞬間、身体の奥からじんわりと熱が広がるような感覚がした。

「あれ……なんか……」

視界がぼやけ、手足がふらつく。まるで深い眠りに引き込まれるように、俺の意識は暗闇へと落ちていった――。

目が覚めると、世界が妙に違って見えた。

光が柔らかく、空気がやけに澄んでいる。

「……ん?」

思わず声を出すと、その声が妙に高く、甘かった。

違和感を覚えて身体を起こす。

華奢な手。細くて白い腕。

目の前の鏡に映るのは、見知らぬ美少女だった。

「えっ……これ……?いや…別に……、いつもの私の姿だ……」

寝ぼけているのか、フラフラとする私の背後で、クスクスと笑う声がした。
振り向くと、彼女が楽しそうにこちらを見ていた。

「ソファに座るなり寝ちゃうんだもん!で、なんの話が聞きたいんだっけ?」

「え……あれ?何の話だっけ?」

「なにそれー?」

そこには楽しそうに笑い合う、2人の女子大生の姿があった。


女子大学生A・Bの場合

目が覚めた時、私の隣には彼女がいた。柔らかな光がカーテンの隙間から差し込み、彼女の白い肌を照らしている。寝乱れた髪が肩に広がり、薄いシーツ越しに覗く曲線が私の目を奪う。私は自然と手を伸ばし、彼女の頬をそっと撫でた。

「ん……もう朝?」

彼女が眠そうな声で呟き、目を擦りながら私を見上げる。その無防備な姿に、胸の奥が熱くなる。私は我慢できず、彼女の首筋に唇を寄せた。甘い香りが鼻をくすぐり、彼女の肌の柔らかさが私の欲望をかきたてる。

「ねえ、まだ眠いのに……」

彼女が小さく抗議するけれど、その声はどこか甘ったるくて、私を誘うように響く。私は彼女の肩を軽く押さえ、シーツを剥いでその身体を露わにする。朝の光に照らされた彼女の胸が揺れ、細い腰が私の視線を絡めとる。

「今日も朝から可愛いね」

私は彼女の耳元で囁きながら、指先で胸の先端を軽く抓む。彼女の身体がビクンと跳ね、甘い吐息が漏れる。その反応に私の心臓がドクンと高鳴り、さらに彼女を追い詰めたくなる。

「や……だめ、そこ弱いから……」

彼女が顔を赤らめて目を逸らすけれど、私は許さない。唇を彼女の首から胸へと滑らせ、柔らかな肌を舌で味わう。彼女の手が私の髪を掴み、微かに震える指先が私の背中に爪を立てる。

「可愛い声、もっと聞きたいな」

私は彼女の腰を引き寄せ、脚の間に身体を滑り込ませる。熱い肌が触れ合い、彼女の吐息が私の耳を濡らす。私は彼女の太ももを強く握り、そのまま唇で敏感な部分を愛撫する。彼女の身体が弓なりに反り、喉から溢れる喘ぎ声が部屋に響き渡る。

「あっ……だめ、気持ちいい……」

彼女の声が掠れ、私はさらに激しく彼女を責める。指が彼女の奥に滑り込み、熱と湿り気を帯びた感触に私自身の身体も疼き始める。彼女の瞳が潤み、私を見つめるその表情に、抑えていた欲望が一気に溢れ出す。

「私も……もっと感じたい」

彼女が私の首に腕を回し、熱っぽい目で私を引き寄せる。唇が重なり合い、舌が絡みつく。甘い唾液が混ざり合い、互いの熱が溶け合う。私は彼女の身体を強く抱きしめ、肌と肌が擦れ合うたびに高まる快感に溺れる。

朝から始まった愛撫は、昼まで途切れることなく続いた。彼女の部屋は甘い香りに満ち、私たちの吐息と喘ぎ声が響き合う。ソファに押し倒し、床に転がり、時には窓辺で絡み合う。彼女の髪が汗で濡れ、私の指先に絡まるたび、愛おしさが募る。

「ねえ、私のことずっと愛しててね」

彼女が私の胸に顔を埋めながら囁く。私は彼女の額にキスを落とし、熱い声で答える。

「私のこともずっと愛してね」

百合の花のように絡み合い、互いを求め合う私たち。この部屋で過ごす毎日は、ただ甘く、いやらしい快楽に満ちている。男だった過去のことはもう覚えていない。ただ彼女と私がここにいる。それだけで十分だった。

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