彼女の部屋は、濃厚なバニラとムスクの香水が漂う淫靡な空間だった――。
この春、上京をして小さな広告代理店に就職した。やっと慣れてきた東京での生活だったのに、アパートが火事で全焼。服も金も、すべて灰に。
頼れる友人もいない中、同じ部署で同期の彼女に相談すると、悪魔のような微笑みが返ってきた。
「私の家に住まわせてあげる。でも、条件があるの」
彼女の声は甘く、だが有無を言わさぬ刃のようだ。
「仕事中はスーツの下に私のパンティーを着けて。家では…完全な女装で、私の言う通りに生活するの」
その言葉に、頭が混乱した。
「いやいや!そんなのできるわけないよ!」
と返しても、彼女はクスクス笑うだけ。
「じゃあ、どこ行くの?お金もない、住む所もないよね?私がいなきゃ、路頭に迷っちゃうよ」
彼女の瞳は俺の心を絡め取り、逃がさない。行く宛のない現実に、喉がカラカラに乾く。屈辱に震えながら、俺は彼女の条件を呑んだ。
その夜、転がり込んだ彼女の家で差し出されたのは、黒いレースのパンティー。
透けた生地に、細かな刺繍が施されている。手に取ると、滑らかな感触が指を這い、ゾクゾクと背筋が震えた。
穿く瞬間、布が肌に吸い付き、下半身に熱が走る。
鏡に映る自分は、男じゃない。長い脚にレースが食い込み、まるで娼婦のような姿。彼女は後ろから抱きつき、耳元で囁く。
「ほら、似合うよ。私の可愛いお人形さんだね」
その声に股間が勝手に疼いた。
朝、スーツの下にブラをを着けて出勤する。締め付けられる感覚が、歩くたびに乳首を刺激する。
オフィスでパソコンを触りながらも、頭は自分の着用している下着の事で頭がいっぱいだ。彼女が後ろを通る時に耳元で囁いてきた。
「ブラのライン、透けてるよ」
と笑いかけてくる。
恥ずかしくて声が出そうになるのを必死で堪えた。
仕事が終わると、彼女は薄紫のシルクのキャミソールと、裾にレースのついたミニスカートを差し出す。
「今日はこれを着てもらおうかな。女の子でも着るのをためらうような、えっちなやつ」
その言葉に、身体が熱くなる。恥ずかしさで顔が燃えるのに、彼女の視線に逆らえない。
キャミソールを着ると、滑らかな生地が胸の先を擦り、変な声が漏れそうになる。スカートは短すぎて、動くたびにパンティーが覗きそう。彼女はソファに座り、俺を品定めするように舌なめずりをした。
「ほら、もっと女の子らしく……腰を振って歩いてみて」
屈辱だ。男のプライドが粉々に砕ける。でも、彼女が近づき、細い指で俺の顎を撫でると、頭が真っ白になる
「いい子ね。私のために、もっと可愛くなれるよね?」
彼女の手がキャミソールの上から胸をなぞり、敏感な突起を摘む。
「あっ…!」
情けない声が漏れ、彼女は満足げに微笑む。スカートをまくり、パンティーの上から俺の熱を握る。
「ほら、こんなに反応してる。女の子失格だよ……」
夜、彼女のベッドで、俺は女装したまま喘ぐ。彼女の舌が首筋を這い、キャミソールの肩紐をずらして胸の先を吸う。パンティーの中で疼く熱を、彼女の指が執拗に弄ぶ。
「男のくせに、こんな声出すんだ……可愛いね……」
彼女の言葉に、心が壊れそうになるのに、身体は彼女に溺れる。レースの感触、彼女の吐息、支配的な視線。すべてが俺を縛り、男としての自分を溶かす。
彼女の唇が俺の耳に触れ、囁く。

「明日は反対に可愛い下着で会社に行こうね…ピンク色のレースとフリルでいっぱいのやつ……」
この部屋で、会社で、俺はもう男じゃない。彼女の作った「女」として、喘ぎ、従い、淫らに咲くしかなかった。
気だるい朝の光が、カーテン越しにまぶたを刺した。頭の奥がズキン、と鈍く痛む。昨日の飲み会で、俺はずいぶん飲み過ぎてしまったらしい。ぼんやりとした記憶の底で、何かが引っかかっていた。
体を起こすと、ふわりと漂うのは、あのバニラとムスクの香り。見慣れた天井。柔らかいマットレス。隣のリビングからは、カチャカチャとカップを重ねる音がする。
同期の彼女の部屋だった。
「……いつのまにか戻ってきたのか、俺」
シャツのボタンを握る指先に、異物感。視線を落とすと、ブラのストラップがきちんと肩にかかっていた。胸を締め付ける心地よい圧迫感。下も……レースのショーツ。ルール通り、下着は完全な女装のままだった。
不意に扉が開いて、彼女がマグカップを2つ抱えて入ってきた。薄手のルームウェアが体のラインを浮かび上がらせ、石鹸と香水が入り混じった、甘やかな香りを運んでくる。
「おはよう。昨日は飲みすぎちゃったみたいだね…。迷惑かけてたらごめん…」
しぼり出すように謝ると、彼女はくすっと笑った。
「ううん、楽しかったよ?でも――大変なこと、やっちゃったね♪」
”大変なこと”その一言で、記憶の濁流が堰を切ったようにあふれ出す。
……会社の飲み会。先輩たちに囲まれ、彼女と隣に座って……お酒が入り、体が熱くなって……気づけばが熱くて……シャツのボタンを外して……そのまま上半身があらわになり……。
――そうだ!俺はあの瞬間、ブラジャー姿になっていたのだ。

「うそ……だろ……」
俺の全身から血の気が引いていく。顔から火が出るほどの羞恥に、喉の奥がカラカラに乾いた。
「みんなびっくりしてたよ。『あいつ、女の子の下着つけてるじゃん!?』って」
彼女はおどけるように肩をすくめ、俺の隣に腰を下ろす。
「でもさ、逆に堂々とすればいいんじゃない?」
その声は優しくて、でもどこか意地悪だった。
「いっそレディースのお洋服着て、ちゃんと“可愛い女の子”としての生活、始めてみたら?」
冗談じゃない。……でも、どこかで、喉の奥がヒクつく。
否定したいのに、否定できない。心の奥で何かが疼く。快楽と羞恥が混ざった、あの“感じ”が忘れられない。
「いや……さすがに会社には行けないでしょ……女の子の服を着て行くなんて……」
情けない声が漏れると、彼女はくすっと笑った。
「大丈夫。私がちゃんとフォローしてあげるから♡」
彼女の指が俺の頬に触れ、すっと髪を耳にかける。その仕草だけで、心がじんわりと溶けていく。
耳元で、ささやく。
「ねぇ……次の出勤日までにレディースのお洋服を買いにいこうね?誰よりも女の子らしくしてあげる」
否定しなきゃいけないはずなのに、身体は逆らえない。
彼女の笑顔がゆっくり近づいて、唇の端が俺の耳に触れた。
「会社でみんなに何て思われるのかなぁ~?」
その言葉に、心の奥が熱く濡れた。
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