女の子扱いと戸惑い
彼女が見ていたのは、男としての“俺”じゃなかった。
好きだって言ったのは、俺のほうだった。
けれど…
「あんたって、本当に……女の子みたいだよね」
サークル内でてきた俺の彼女は、いつもそんな風に微笑んでは、俺を見透かすように言った。
冗談だと思ってた。俺は男だ。大学生の、普通の男のはずだった。
でも、あの日——
打ち上げの帰り道、酔った勢いで俺は、彼女の「提案」に頷いてしまった。
「ねぇ、ちょっとだけ女装してみてよ。……絶対、似合うから」
そのままなし崩し的に彼女のアパートへ行った。
最初は軽いノリだった。スカートの感触も、ウィッグの重みも、全部“遊び”のはずだった。
だけど——彼女の指先が俺の頬に触れた瞬間、空気が変わった。
「うん、ほら……すっごく可愛いよ」
囁くような声。
彼女の視線が、俺の胸元や脚をゆっくり這っていく。
——ドクン、と胸が高鳴った。
スカートの中の生脚に、ひやりとした風が触れて。
メイクの匂いが微かに鼻先をくすぐる。
彼女は俺の肩を抱いて、耳元で甘く囁いた。
「もっと……女の子らしくなろうよ?」
その日を境に、彼女の“お世話”はエスカレートしていった。
ある日、レースのショーツと透けるほど薄いブラを渡された。
「試してみて。……どう? こういうの、好き?」
俺は拒めなかった。いや、拒れなかった。
下着に包まれた肌は、自分じゃないみたいに敏感で。
胸元をなぞる布地の感触に、思わず喘ぎそうになる自分がいた。
鏡の中で、そこに映るのは……
頬を紅潮させた、見知らぬ“女の子”。
でも、どこかで確かに、自分自身でもあった。

学内でも、彼女は俺を“女の子”として扱った。
「ねぇ、ちゃんと女の子の下着…着けてる?」
そう言いながら、シャツのボタンをひとつ、またひとつと外していく。
白く浮き出た鎖骨を指先でなぞられるたび、俺の身体は勝手に震えた。
恥ずかしい。誰かに見られたら、終わる。
なのに、心の奥がじんわりと熱くなる。
「もっと変わってほしい。……私だけの、女の子になって」
その言葉が、呪いのように俺の心に染み込んだ。
彼女の指が頬に触れ、唇に色を乗せる。
淡いピンクが、俺の口元に艶を与えていく。
目尻には、流れるようなアイライン。
頬にふんわりとのせられたチークは、羞恥そのものみたいに火照っていた。
彼女の手は優しくて、そして残酷だった。
元の“俺”を、少しずつ消していく。
でもそれを、俺は……心のどこかで望んでいた。
「こんなに可愛くなって……もう、私の彼女だね」
その言葉が甘く響いた瞬間、俺はもう完全に——
俺は彼女の“彼女”に、染められてしまっていた。
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