女子に囲まれ、入部したのは女子ソフトボール部だった

ジェンダーレス制服制度

入学式の前日、ようやく制服が届いた。

長かった。春休み中にサイズ合わせは済ませていたはずなのに、制服屋からはずっと「準備中」のまま。やきもきしていたが、ようやく玄関に段ボールが届いたときは、思わず小さく安堵した。

「間に合って良かった…」

俺は急いで自室に段ボールを運び、ベッドの上に箱を広げる。胸の奥がドクドクと高鳴っていた。これで明日の入学式に、問題なく参加できる。

しかし、開けた瞬間、その鼓動は別の意味で跳ね上がった。

中に入っていたのは、セーラー服だった。
深いネイビーの襟に白い三本線。胸元には真新しい赤いスカーフ。スカートは膝上丈のプリーツで、触れるとサラリとしたしなやかな手触りが指先に絡みつくようだった。

「……は?」

慌てて制服屋に電話をかけた。

『申込書には女子制服に丸がついておりますので、間違いではございません。なお、今年度より貴校ではジェンダーレス制服制度が導入されております。』

そう畳み掛けるように説明され、返品不可を告げられた俺は、しばらく電話を握ったまま呆然としていた。

(俺、間違ってそんなとこ丸つけたのか…?)

けれど、明日には入学式がある。男子制服を買い直してる時間なんてない。
仕方なく、俺は届いた制服を手に取り、着替え始めた。

白いブラウスは、腕を通すとすこしヒンヤリしていて、肌に吸い付くようだった。スカートを履くと、脚にそよぐ空気がやけに生々しくて、布の軽さが太ももをくすぐった。

鏡に映った自分の姿に、思わず息を呑んだ。
そこには、どう見ても「女の子」がいた。
制服の形に自然とラインが寄せられ、首筋から鎖骨にかけての滑らかな曲線が、妙に艶っぽく見えてしまう。

(俺…こんなカタチしてたか…?)

恥ずかしさとともに、ゾクリとした快感が背筋を撫でた。

――翌日、制服のまま電車に乗り、学校の門をくぐった瞬間から、視線が集中した。
誰も何も言わない。けれど、みんながチラチラと俺を見ている。

(ヤバいヤバい、帰りたい……でも、もうここまで来たし……)

式が終わり、なんとかその場を乗り切った俺は、野球部の部室を訪れた。
中から出てきたガタイのいい先輩が、俺の姿を見て眉をひそめた。

「女子?ソフトボール部は向こうな。うちは男子だけだからさ」

「いや、俺、男子です。間違って女子制服が届いただけで……」

「はあ?何言ってんの、冗談はいいって。見た目も女子にしか見えないし」

取り合ってもらえず、俺は肩を落として引き返した。
だけど、どうしても部活に入りたくて、仕方なくソフトボール部の見学に向かった。
そこでは、拍子抜けするほど歓迎された。

「えーっ、見学?いいじゃんいいじゃん!絶対入ってよ!」
「可愛い~!うちのユニ、ぜったい似合うって~!」

女子部員たちに囲まれ、軽くキャッチボールを体験させられる。
ユニフォームはピタッとした短パンが渡され、仕方なく履くと太ももがむき出しになり、布がくい込む感覚に身が熱くなる。

(やば……これ、見られてる…)

「なんか、普通の子よりずっと可愛いね。肌も綺麗で羨ましいな…」

その声にドキッとして、俺は首をすくめるしかなかった。
俺は断る理由も無く、女子ソフトボール部に正式入部を決意した。

夕暮れのグラウンドで、俺は赤く染まる空を見上げながら、ふと肩越しに視線を感じた。

「女子のソフト部にあんな可愛い子いたっけ…?」

誰かのそんな声が、風に乗って聞こえた気がした。


正式入部、初練習

「おーい、こっちこっち!」
「今日から初練習だね!頑張ろうね!」
「とりあえず練習着に着替えようか!」

先輩たちは何のためらいもなく俺を『女子ソフトボール部』の部室に連れて行く。

「ちょ、ちょっと待ってください。俺、男子ですし、さすがに一緒に着替えるのは…」

「なに言ってんの~。うちの部、女子しかいないんだから、ここしか更衣室ないってば」
「それに、今日もう“ジェンダーレス制服”で来てるじゃん!それなら十分だよ」

にこにこと笑いながらも、腕を取ってぐいっと引っ張られる。

「ほら、気にしないで。あんた、ぜったいすぐ慣れるから」

ドアをくぐった瞬間、むわりとした熱気と甘い匂いに包まれた。
シャンプー、汗、ボディミスト…どこか懐かしくて、それでいて胸の奥をくすぐるような香り。

「あっ!あんたは奥のロッカー使って。うち、サイズ合うの置いてるから」

脱ぎかけのユニフォーム、露出した背中、ブラ越しに浮かぶ肩甲骨。
視界に入るすべてが女の子で、でも――そこに立ってる“俺”だけが、場違いだった。

……なのに、なぜだろう。

その「場違い」が、肌の奥で疼くほど、気持ちよかった。

「じゃーん、見て! 新入生用ユニだよ。シャツも短パンも、ちょっとタイトだけど…似合うと思う」

差し出されたのは、洗い立ての真っ白な練習用のシャツ。その下にある短パンは男子が穿くには幾分、丈が短い。太ももはほぼむき出しになる。

「と、とりあえず…すぐに着替えますね…」

「あっ、その前に…」

先輩がクローゼットを開け、何かを取り出す。
それは、レースの縁取りがされた真っ白なブラジャーだった。

「はい、これ。初めてだろうけど、試してみて。肌、擦れたら大変だからさ」

「最初は私ちゃんとホックつけてあげるから、大丈夫!」

「え、えっ…」

抵抗の声は出せなかった。
それよりも、心のどこかで“着けてみたい”という想いが、確かにくすぶっていたから。

ブラを肩にかけ、ホックを背中で止められた瞬間――
カチッ、という小さな音と共に、胸の奥が“女の子”に締めつけられた気がした。

「わぁ…けっこうフィットしてるじゃん。やっぱ細いし、肩も華奢だしね」

鏡に映る自分の姿を見た。
濡れた前髪が額に張りつき、白いブラのカップが胸元にくっきりと浮き上がっている。
鎖骨から肩にかけて、汗が細く光の筋になって流れていた。

「……っ」

脚が震えた。
恥ずかしい。とんでもなく恥ずかしい。けど……その羞恥が、脳の奥で快感とつながってしまっている。

「さ、シャツ着て。んー、お尻ちょっとパツパツかな?それも可愛いけど」

シャツを羽織り、短パンを履く。ウエストゴムがぐっと締まり、下腹に食い込んだ。
しゃがんだ瞬間、布がぐいと奥まで引っ張られて、太ももの奥がむず痒くなる。

(……これ、女子って…こんな格好で、毎日動いてるのか…?)

「こっち来て。写真撮ろう。入部記念ってことで」

「え、ちょ、ちょっとそれは……」

断る間もなく、スマホを構えられ、腰を寄せられる。
ピタリと背中が密着した。ブラごしに感じる胸の圧迫感、先輩の吐息が耳元をなぞった。

「ふふ……可愛いよ。ほんとに」

シャッター音が響く。
その瞬間、俺は完全に“女の子”として記録されてしまった。


ベンチ外の現実、マネージャーの始まり

そしていよいよ、女子ソフトボール部としての活動が始まった。

本当に入りたかったのは野球部――。それでも胸が高鳴っていた。
ボールの大きさもルールも多少は違う。だが、これまで野球で積み重ねてきた経験がある。周囲は女子ばかりだ。ならば一年目からレギュラーとして出場できるだろう――そんな自信を、どこかで当然のように抱いていた。

だが、現実は冷たく牙を剥いた。

ミットからはみ出すほど大きなボール。
思った以上に伸びてくるボール。
そして何より、女子用のユニフォーム。

柔らかな布が汗を吸って肌に貼りつき、短い丈のパンツが太ももを晒す。動くたび「すりっ」と股へ食い込む感触に気を取られ、集中が削がれていった。

ポロリと落とす球の音。
「バチン」と響く嫌なエラーの音。
転がる自分の間抜けな姿。

「またミス?大丈夫?」
「ほんとに野球やってたの?」

声をかけてくる先輩の笑顔の裏に、呆れの色が透けて見える。視線の棘が肌を刺すたび、胸の奥に小さな穴が開いていくようだった。


日々は過ぎ、練習試合でもベンチを温めるだけになった。
そして、三年生最後の夏。背番号発表の日。ベンチ外に回る者がひとり出るのは知っていた。だが、自分の名前が呼ばれないとは夢にも思わなかった。

「あらー、女子に負ける気分ってどう?まあ、私たちが引退すればベンチ入りできるから、今回は応援とサポート、頑張ってね」

先輩の軽やかな言葉が、刃のように心へ突き刺さった。

翌日から、俺は選手としてではなく、雑用係としてグラウンドに立つことになった。

雑巾を渡され、ベンチを拭き、ペットボトルを運ぶ。
「端までちゃんと拭いてね」「氷作っといて」
声は柔らかいのに、そこには小馬鹿にした色が混じっていた。

(俺は……ボールを追いかけるはずだったのに)

喉の奥で言葉がつかえる。絞った雑巾から滴る温い水が、手のひらを滑っていく。甘い柔軟剤の香りと汗の匂いが混じり合い、胸の鼓動を速めた。

「ありがと、助かる。ほんとマネージャーにぴったりだね」

額に髪を貼りつかせた先輩が笑う。肩にタオルを掛けられた瞬間、ふわりと漂うシャンプーの香りに呼吸が詰まる。

(な、なんで……悔しいはずなのに)

胸を締めつけるブラの感触。太ももに貼りつく短パン。わずかな刺激すら、体の奥をざわめかせる。

「もっと可愛く声出して!」

「ファ、ファイトー!」

女子たちの声に合わせて声を張るたび、胸が揺れ、汗に濡れた布がいやらしく肌を浮かび上がらせる。

「いい声だよ!もっと!」

からかうような声援に顔を赤く染めながらも、体の奥で熱がじわじわと広がっていくのを止められない。

泥にまみれて輝く同級生たち。その輪の外で、俺はタオルを差し出し、氷を当てるだけの存在。

「ありがと。よく気が利くね」

先輩の微笑みに胸が甘く痺れる。その甘さが悔しさを溶かし、代わりに奇妙な心地よさを押し込んでくる。

(俺……女子として、マネージャーとして扱われることに……快感を覚えてる?)

気づきたくなかった真実が、形を帯びて迫ってきた。

夕暮れのグラウンド。片付けをしていると、背後から声が落ちる。

「明日の試合も応援よろしくね。飲み物とタオル、任せたよ」

背筋がぞくりと震えた。声を返そうとしても、喉が熱く詰まる。

――知っている。
俺は選手としてではなく、運動部で女子に負けてマネージャーとなり、女子をサポートする事に悦びを見出した男なのだ。


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