教会という異世界、優しい声
俺は何も持っていなかった。 学校ではいじめられて、家でも優秀な兄と比較されて居場所がなかった。ただ苦しいだけの日常。
自分で人生を終わらせようと思った事も一度や二度ではない。
ネットゲームの世界だけが、唯一の逃げ場だった。
そこで知り合った彼女は、不思議と俺を対等に扱ってくれた。
「住んでる場所、意外と近いね」
そんな彼女の言葉をきっかけに、俺は彼女と会うことになった。
初めて会った彼女は、ネット上と同じで優しく、柔らかい笑顔をしていた。
「よかったら今度一緒に教会に行かない?牧師さんが悩みも聞いてくれるし」
彼女の誘いに、俺はただ頷いた。
教会の扉を開いた瞬間、異世界に迷い込んだような錯覚を覚えた。ステンドグラスから差し込む光が、聖堂の床に色を落としている。その静謐な空気が、俺の心を少しだけ軽くした。
教会の雰囲気は不思議と気持ちを落ち着かせ、牧師さんも俺の話を真摯に受け止めてくれた。
しかし、教会に通ううちに、自分の身体にある違和感を感じた。
最初は肌の質感が変わった。ざらついていた腕が滑らかになり、体毛も減っていった。次に、声が柔らかくなった。鏡の前で発した言葉が、かすかに違って聞こえた。気のせいかもしれないと思ったけれど、確かに違うのだ。
ある朝、胸に違和感を覚えて目を覚ました。薄い布団越しに、微かな膨らみを感じる。信じられなくて、慌ててTシャツをめくった。
「……嘘だろ」
そこには、確かに胸があった。
慌てて彼女に相談すると、彼女は微笑んで、「大丈夫」と言いい、
「受け入れる準備ができたら、これを着けてみて」
と、彼女は俺にブラジャーを手渡した。
恐る恐る、それを手に取る。
レースの感触が、妙に生々しく感じた。
帰宅し、迷った挙句、俺はブラの肩紐を腕に通し、背中のホックを留めた。きつくはないのに、妙な違和感があった。ブラを着けるだけで、何かが変わるわけではない。でも、変わらないはずの何かが、確かに変わり始めていた。
――それでも心のよりどころになっていた教会に通い続けた。気づけば、俺は完全に女性になり、シスターとしての衣をまとっていた。シンプルな黒の修道服。ふわりと揺れる裾が脚に触れるたびに、俺は俺であることの輪郭を失っていく。
でも、不思議と怖くはなかった。
今までの俺は、ただ間違っていたのかもしれない。
彼女は、俺の手を取って優しく微笑んだ。
「これからは、一緒に祈りましょう」

鐘の音が響く。
俺はゆっくりと目を閉じた。
──その瞬間、耳元で囁く声が聞こえた。
「あなたの役目は、まだ終わっていないわ」
鏡に映る私と“捧げ”の言葉
『あなたの役目は、まだ終わっていないわ』
――それから、数ヶ月の時が過ぎた。
朝の祈りの前に鏡で髪を整え、洗礼の衣をたたみ、声の調子に気を配る。女のふり、なんてものではない。ただ、自然と身体が“そう”動くようになっていた。言葉遣いも、仕草も、いつしか誰にも指摘されなくなり、私自身がそれを恥ずかしいと思わなくなっていた。
「女になりたいのか?」と何度も自問した。答えはまだ見つからない。 けれど、“女”の自分を嫌だとは思わなかった。
ある日、私は“彼女”に再び呼び出された。彼女に導かれた先は教会の奥にある古びた部屋。
蝋燭の灯りがほのかに揺れるその空間には、見知らぬ女性がいた。
年上で、端正で、背筋の通った女性。その瞳はすべてを見通すようで、私は思わず息を呑んだ。
「この子が……例の“使命”を持った者ね」
彼女はうなずき、答えた。
「この子には、女性としてもう一段階進む必要があります」
私は何も知らされぬまま、その女性の前に立たされた。
「……今日からは、これを身に着けなさい」
差し出されたのは、レースのついた黒のブラジャーだった。
数ヶ月前、私が初めて手にしたものより、もっと繊細で、女らしい。
「え、これ……私が?」
「今まで身に付けていた純白ではなく、漆黒の下着を身に付けて下さい」
そう言われて、私は素直に従った。
震える手でブラを受け取り、背を向けた。上着を脱ぎ、今、身に付けていた純白のブラを外した。
胸の膨らみはもうはっきりとわかる様になっていた。女性の中に交じっても、大きい方だろう。
ホックを留めようとしたとき、彼女が手伝ってくれた。背後から、指が私の背中に触れる。
「安心して。“修道院長”が言う事は何一つ間違っていないから…」
今一度、自分の姿を確認する。下着の色が変わっただけでは言い表せない、不思議な感覚がそこにはあった。
「その感覚、覚えておきなさい。これが“本当の女であること”の第一歩よ」
その夜、私は鏡の前に立った。
シスター服の下、黒のランジェリーを着けた自分が、そこにいた。
頬が染まり、視線を落とせなくなる。
『あなたの役目は、“祈り”ではないのよ』
『“捧げる”こと。あなた自身の身体を、心を、すべてを』
そしてその翌日──
昨日会った、ただならぬ雰囲気を持った、“修道院長”から、呼び出しがかかった。

「あなたがこの数ヶ月間、神に尽くしてきた素晴らしい行いは聞いております。今日はあなたが真実に近付くための、仕上げの時です」
そう囁いた。
私の胸が、恐れとも期待ともつかぬ熱で、静かに波打っていた。
焚べられる“過去”と誓いの歌
修道院長の部屋は、神殿の最奥にある。
重たい扉が音もなく閉じられた瞬間、私の足元から空気の質が変わったのを感じた。
「こちらへいらっしゃい」
院長の声は静かだったが、命令のように抗えない力を含んでいた。
床に敷かれた絨毯は深いワインレッド。壁には古い祭壇画が飾られている。窓はなく、蝋燭の灯りだけが揺れていた。
院長は丁寧に編まれた籠を持っていた。中には、男性だった頃の私の姿うつった写真と、男性の時に来ていた服・下着類。どこかにしまい込んでいたはずのそれら…。
「これを、焚きなさい」
一瞬、呼吸が止まった。
私の過去。私が“私”になる前の、最後の証…。
籠から出し、震える手でそれらを暖炉に放り込み、火をかざす。ぱちり──と紙が弾け、黒い灰が空中に舞った。
熱に頬が火照る。胸が詰まりそうになるのに、なぜか涙は出なかった。
「あなたはもう、過去の服も、名も持つ必要はありません。今のあなたに必要なのは、“祈り”と“奉仕”だけ」
院長は私に黒いヴェールを被せ、そっと肩を撫でた。
「さあ、誓いの歌を──あなた自身の声で捧げなさい」
私は震える唇をそっと開いた。
「わ、私は……神に、すべてを捧げます……」
声はかすれて、最初の音は上ずった。けれど、胸の奥から湧き上がるように旋律が流れ出した。
「……私の体も、心も……」
指先が熱い。肌が、衣の中でしっとりと汗ばむ。
「……すべて、神と、この教会に…」
歌いながら、私は不思議な感覚に包まれていた。羞恥と快感が同時に押し寄せ、黒のランジェリーが肌に絡みつくような錯覚。喉の奥が震え、息が漏れるたびに、かすかな甘い香りが鼻腔をくすぐった。
「……私は……もう、戻れません……」
その言葉が、祈りの最後だった。
院長は近づいてきて、私の手をとった。
「よくできました。これで、あなたは“本当の意味で”こちらの世界の人間になったのです」
手の温もりが、どこまでも深く染み込んでいくようだった。

「真のシスターとなった今、これからは迷える子羊たちに“与える立場”となったのです。次の満月の日のミサには男性も多く訪れるでしょう。あなたはシスターとして、信者様に“与える”のです。それがあなたに課された“使命”なのです……」
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