転機
俺は今ここから人生を変えるんだ…。
ブラック企業に心も体もすり減らされていたある日、駅前で手渡された一枚のビラに目が止まった。
【真の自分に還る――“月と華の会”へようこそ】

ぼんやりした頭でその言葉を読んだ時、何かが心に引っかかった。
その週末、俺は無意識のように書いてある住所の宗教施設の扉を叩いていた。
初めての集会で、教壇に立つ教祖の姿が一層まぶしく見えた。アロマがほんのり香る部屋に響く女性の声。
「あなたは、ずっと気づいていなかっただけ…本当のあなたは、女の子として生きたかったのよ」
穏やかで優しい囁きが、音楽と一緒に心の奥に染み込んでくる。
深いリラクゼーションに包まれたまま、声は繰り返される。
「レースの感触が好きよね…フリルの裾が太ももに触れると、安心するでしょう…?」
「あなたは今日から本当の自分に戻るの。忙しい日常で忘れていただけ…。本当は可愛らしい女の子…」
終わった後、ぼーっとしたまま会場を出た俺の耳には、その声がまだ残っていた。まるで、夢を見ていたようだった。
日が経つにつれて、会の教えに沿うように、少しずつ服装が変わっていった。
集まりに参加するたび、次第に“身嗜みの浄化”という名目で参加者同士でペアを組まされるようになる。
「今日は私があなたをもっと可愛くしてあげるね♪」
柔らかい手でチークをのせられ、唇にリップグロスを塗られる。
最初は居心地の悪さと恥ずかしさがあったのに、いつの間にかその感触が心地よく感じ始めていた。
スカートを穿く。鏡を見る。
――可愛い、なんて思ってない。なのに、褒められるたびに胸の奥がズキンと疼く。
「今日もとっても似合ってるよ。やっぱりあなたは、女の子のほうが自然だね」
言われるたびに、何かが擦り込まれるようだった。
逆に少しでも男っぽい言動や恰好だと、誰も話しかけてくれなかった。
その落差が、俺を“正しい”方向へと自然に誘導していく。
気づけば、ワンピースの裾を整える仕草や、細くなった声で話す自分が“普通”になっていた。
女の子として扱われることが、こんなにも心地よく、安堵するものだったなんて…。
本当の自分なんて、最初はただの思い込みだと思ってた。
でも今、鏡の中で微笑んでいるこの“私”を、俺はもう否定できなかった。
もう、男に戻る理由なんて――思い浮かばない。
変化~深化
鏡の前に立つのが、日課になっていた。
朝と夜、白いローブを身に纏い、足元までの大鏡を見つめる。髪は肩まで伸び、肌もどこか柔らかく、輪郭も少しずつ丸くなった気がする。
「これは…“私”。今日も可愛い女の子……」
そう小さく呟くと、胸の奥にぽっと火が灯るような感覚がする。最初は言わされていた。けれど今は、自然と口をついて出る。
“男だった頃の俺”が、少しずつ遠ざかっていく。
「本当のあなたを思い出して。お祈りの前には必ず“確認”をしてね」
そう指導してくれたのは、月と華の会の信徒のひとりで、私の“お姉さま”を名乗る女性だ。
彼女が言う“確認”とは――鏡の中に映る女の自分を見つめ、「これは嘘じゃない」と唱えること。
それを続けていると、本当にそう思えるようになってくる。
最近は、眠る時間さえも気が抜けない。
教団から貸し出された小さなスピーカー。そこから毎晩流れてくる“月の囁き”と呼ばれる音声――。
『あなたの身体は変わっていく。女性の肉体へと導かれていく』
『乳房が膨らみ、肌は絹のように滑らかになる。股間の重みは、やがて消える――』
低く甘い女性の声が、夢と現実の境を曖昧にしながら、耳の奥にしみこんでくる。
最初は違和感があった。でも今は、その声を聞きながらでないと眠れない。
『明日も、可愛い服を着られるわね。あなたは、選ばれた華なのよ――』
寝ている間に身体が熱くなり、下着の内側にしっとりとした感覚が残ることもある。
朝起きてその痕跡に気づくと、なぜか罪悪感じゃなくて…安心する。
「今日は“祝福の儀”があるの。あなた、もう準備はできてるよね?」
祭壇の奥に連れて行かれると、部屋の空気が一変した。
月のシンボルが刻まれた床、神聖な香が立ち上るなか、私のローブがするすると脱がされていく。
「これは“変容のオイル”。女神の記憶が染み込んでいるのよ」
そう言って、お姉さまが両手に塗り込んだ淡いピンク色のオイルを、私の首筋に、鎖骨に、そして胸元に塗り広げていく。
冷たい感触とともに、肌がピリピリと熱を帯びていく。
「ふふ…ほら、ちゃんと反応してる。身体が“女”を欲しがってるの、わかるでしょ?」
オイルはやがて、太もも、腰、そして下腹部へ。
指先が滑るたび、頭の中が真っ白になって、声が漏れそうになるのを堪えられなかった。
「あなたの“男性”は、もうここには必要ないの。女として受け入れられれば、こんなにも楽になれる」

言葉と指先が同時に意識を侵食していく。
“本当の自分”が、少しずつ上書きされていくようだった。
それからしばらく、私は鏡の前で“私”を見つめるたび、胸の奥に熱が灯るのを感じるようになった。
夜、スピーカーから流れる甘い声に抱かれながら眠り、朝には“可愛くなる”準備を自然と始める。
そして、また新しいオイルが配られるたび、身体のどこかが変わっていく気がして…怖いはずなのに、なぜか嬉しいと思ってしまう自分がいる。
もう――男に戻る理由なんて、思い出せない。
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