文化祭の誘惑
妹の夕夏が通う私立小学校の文化祭。校門をくぐったときの、甘い綿菓子の香りと、黄色い声の混じったざわめきは、どこか懐かしいようだった。
「夕夏の教室はどこだろう…へぇ~こんなのもやってるのか…」
妹の教室を探しながら歩いていると、ある教室でバザーをやっていた。興味本位で入ったその教室で僕は見つけてしまった。紺のスカートに、セーラー服。女児生徒の不要品として出された制服だった。
「安っ……」
値札には『2000円』と書かれている。
思わず足が止まったが、目を逸らし、興味がないフリをして他のコーナーを回る。しかし、脳裏から制服の布地のやわらかそうな質感が離れない。
──触ってみたい。
──袖を通してみたい。
こっそり戻った僕は、辺りを確認して制服を手に取った。柔らかな布が手のひらに絡みつく。その瞬間、心臓がバクンと鳴る。
思わず震えた指でレジに持っていく。
「これ、ください」
おばさんは気にも留めず袋に詰め、僕に手渡した。誰にも見られてない──そう思っていた。
「……夕夏のお兄ちゃん?」
細く澄んだ声に、心臓が止まりかけた。振り返ると、妹の友達・真由ちゃんが、目を丸くして僕を見ていた。
「い、いや、その、これは……!」
「ふぅん……それ、どうするの?」
「いや、べ、別に…」
「ちょっと、あっちに今日は誰も使っていない教室があるから、ちょっと来てお話したいな…。夕夏ちゃんにばらされたくなかったら…」
僕に選択肢はなかった。妹の同級生に従い、文化祭の喧騒が遠くに聞こえる、誰もいない教室に入った。
「…で、夕夏のお兄ちゃんは何で私たちの学校の制服を買ってたの?必要ないよね?」
「な、なんでそんな事を……!」
「夕夏ちゃんには黙ってて欲しいんだよね?正直に答えて…」
小学生とは思えない鋭い目つきに、僕は否定の言葉が出てこなかった。
「そ…それは…女の子の服に興味があって…」
「ふぅん…」
優しくも冷たい真由ちゃんの笑顔に、僕の背中に冷たい汗が流れる。
「じゃあさ、実際に着て見せてよ。その制服、似合うか見てみたいな〜♪断ったら…わかってるよね?」
からかうような笑み。僕にはもう選択肢は残されていない。
「本気なの……?」
「うん、本気。今さら逃げられると思ってるの?」
袋から制服を取り出すと、ふわっと甘い香りが鼻腔をくすぐった。
誰かが使っていた形跡が微かに残る、“女の子”の香り。
制服を羽織ると、肌にすべる布地のやわらかさにゾクッとした。
セーラーの襟が、首筋にふわりと乗るたび、体が敏感に反応していく。
スカートを履いた瞬間、ゴムが腰骨を締めつけて、まるで体型まで変わってしまったような錯覚を覚えた。

「うわ、本当に女の子みたい。可愛いね!あ、髪の毛もリボンで結ぼっか」
「か、からかわないでよ……!」
やめて欲しい…やめて欲しいはずなのに、どこか心の奥で“もっと”を求めていた。
「夕夏のお兄ちゃん、可愛いって言われるて嬉しいんでしょ?」
真由ちゃんの声が妙に甘く響いた。
否定できない自分の本心。
それを自身が自覚すると、さらに胸の奥がじわっと熱くなって、心までスカートの裾に包まれてしまいそうだった。
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