娘よりも後輩チアガール -羞恥に溺れ、変わりゆく“俺”から“私”-

娘の無邪気な誘い

「ねえパパ、お願い。一緒にチアやってよ!」

その一言が、まさか俺の人生をこんなふうに変えるなんて、あのときは思ってもいなかった。

9歳になる娘は、近所の体育館で週2回行われる“地域チアクラブ”に通っている。ちびっこから中学生くらいまで、元気な女の子たちが、カラフルなポンポンを振り回して笑っているその光景は、正直、父親としては目を細めたくなるような可愛らしさだった。

その娘が「親子参加体験を一緒にやろうよ」と無邪気に言ってきたのだ。

まさか本気でやる羽目になるなんて思ってなかった。

だが、妻には

「普段仕事ばかりなんだから、娘の記念にもなるしやってあげたら?」

と諭され、俺はしぶしぶ登録を済ませた。

それから一週間後。

「今日は一日、パパも正式メンバーね」

娘に手を引かれて向かったのは、体育館のステージと鏡付きの練習スペース。そこには、十数人のチア衣装を着た女の子たちが集まっていた。

「あっ、新しい子だー!」
「よろしくね、後輩ちゃん♪」

後輩ちゃん……?

何かがおかしいと思った瞬間だった。

「え、俺……じゃなくて、僕が一番年上ですよね?」

「年齢関係ないよぉ。経験ゼロなんでしょ? だったら、チアクラブでは“最年少後輩”ってことになるの」

そう言って笑うのは、リーダー格の中学2年生。腰のくびれが大人顔負けで、脚も長くて、目元に色っぽい自信が宿っていた。

「さ、まずは衣装に着替えて」

娘に手渡されたのは、鮮やかに目を引くピンクのチア衣装、白いレース付きのインナースカート、そして……スポーツブラとヒップパッド。

「えっ、待って、これは……」

「パパも女の子に見えないとダメだよ? “チアガールクラブ”だからね」

俺は何も言い返せなかった。

――そして10分後。

体育館の控え室で、鏡に映った自分の姿を見て、全身から変な汗が出た。

ウィッグをかぶり、胸にパッドを詰め、ふんわりとしたスカートを揺らす自分。

「新入りちゃん!足の開きが甘い!」
「腰もっと回して!それじゃおばさんだよぉ」
「パパ、もっと頑張って!」

「ご、ごめんなさい……」

初めて練習に参加したその日、俺は何度も叱られ、跳ねるたびにスカートの中がふわっと舞い上がり、娘にすら「そこ、もっと可愛く!」と怒られた。

家では父親、だがここでは完全に「後輩チアガール」

どこか艶やかな目を向けてくる先輩たちの視線に、俺の頬はずっと火照っていた。


変わりゆく、娘との関係性

「それじゃあ、今日の親子チア体験はここまで~!」

体育館に響く先輩たちの拍手と歓声。
俺は、汗だくのまま膝をついて、ぐったりと肩を落としていた。

もう、体力も限界だった。

でも、それ以上に――心が限界だった。

「ふぅ~、後輩ちゃん、おつかれ~!最初はぎこちなかったけど、なかなか筋いいじゃん♡」

「うんうん!あのハートのポーズ、可愛かったよぉ~!」

ポンポンを振って笑いかけてくる先輩チアたち。
俺は苦笑いを浮かべて、なんとか礼を言った。

「ま、また機会があれば……」

だが、その言葉を遮るように、娘がスッと前に出た。

「じゃあ、みんなに報告あるね!」

娘の声が、キリッと体育館に響いた。

「えっと……パパ、じゃなくて“後輩ちゃん”のチアクラブ正式加入が、みんなの総意で決定しましたっ♡」

「「「いぇ~い!!!」」」

「……えっ……!? ちょ、ちょっと待って!?」

俺の抗議の声は、まったく届かなかった。

「ということで、新しい後輩ちゃんに“チアネーム”をプレゼントしまーす!」

娘が胸ポケットからピンク色の紙を取り出し、満面の笑みで読み上げた。

「後輩ちゃんの名前は”ゆうや”ですが、チアネームは……【YUNA】でーすっ♡」

「……ゆ、ゆな……!?」

「かわいいでしょ?YUNAちゃん! これからもよろしくね!」

「う、うそだろ……こんな名前……俺が……」

「YUNAちゃん♡これからよろしくねぇ~!」
「がんばってね!YUNA♡」

もう、俺の“名前”すら、あの場所から奪われてしまった――

家に帰ってすぐ、俺は妻にすがるようにして言った。

「なぁ……おかしいだろ?俺、ただ体験に行っただけで、チアクラブに入るなんて……“YUNA”なんて……」

だが妻は、キッチンでエプロンをつけたまま、微笑んでこう言った。

「ふふ、何言ってるの?可愛いじゃない。“YUNAちゃん”♡」

「た、助けてくれよ……!俺、もう男としての自信が……」

「でもあなた、“チアガールとしての輝き”は出てきてるじゃない」

その言葉に、俺は一瞬、本気で泣きそうになった。

それから、家の中の空気が明らかに変わった。

娘は、俺を「パパ」とは呼ばなくなった。

「ねえ、“YUNA”?」

「……」

「チアガールは、家の中でも“意識高く”しないとダメなんだよ?先輩たちにもそう教わったでしょ?」

「……う、うん……」

「じゃ、チア服に着替えて?」

抵抗すれば、娘がスマホをチラつかせる。

「今日の練習サボったって、先輩に報告しようかな~♡」

「……それだけは、やめて……」

着替えるしかなかった。

ハンガーには、色とりどりのチアユニフォームが何着も並んでいる。
お腹がちらっと覗く丈のトップス。ヒップラインが強調されるミニスカート。

「今日はそうだなぁ~…、この赤と青のやつにしよっか?」

無理やり着させられるチアユニフォーム。

「はい、チアポーズ♡もっと腰ひねって~、YUNA♡」

「……こ、こう?」

「そうそう♡あ、写真撮っとこ♪ 明日先輩に見せるね♡」

「えっ!? ちょ、ちょっとやめ……っ!」

もう、俺は“父親”でも“男”でもなかった。
娘にとって、俺は後輩チアガール“YUNA”なのだ。


羞恥のスポットライト

地元のイベントの喧騒が、耳の奥でざわめく。
照りつける陽射しに肌が焼けるようで、新しいチアユニフォームの中は、もう汗でぐっしょりだった。

極端に短いプリーツスカートがヒラリと舞うたび、裏地が太ももを撫で、ゾクリと鳥肌が立つ。
トップスはぴったりと身体に張り付き、胸の輪郭をなぞるように浮き出ていた。
ウィッグのロングヘアが肩をくすぐり、フローラルシャンプーの香りが自分のものとは思えないほど甘くて、女の子のにおいがした。

「YUNAちゃん、準備できた?」

名前を呼ばれ、心臓が高ぶる。
リーダー格の先輩がこちらに歩いてくる。微笑んでいるのに、どこか追い詰めるようなその視線が怖い。いや…怖いのに、なぜか胸の奥がチリチリと疼く。
彼女の目が、まるで品定めするように俺の身体を見下ろすたび、背筋が勝手に震えた。

「お客さん、大勢来てるね!みんな待ってるよ。YUNAちゃんの初ステージ、逃げられないからね♡」

逃げたいのに、逃げられない。
視線を下げれば、スカートの裾が風に揺れて、自分の足が…“女の子の足”みたいに細く、白く見える。
思わず目をそむけた。だけど、そこには観客のざわめき。カメラを構える手、スマホ、笑顔…全部、俺を見てる。

なぜ、こんなことに――
ただ、娘に付き添っただけだったはずなのに……。

観客の前に立った瞬間、全身が汗で張り付いた。
照明が肌を照らし、白い足と可愛らしい衣装に反射する。
恥ずかしい、逃げたい、顔を隠したい――
でも、体は裏切るようにステップを踏んでいた。

「1、2、3、ジャンプ!」

スカートが宙を舞い、太ももが空気に晒される。
観客が沸く。フラッシュが光る。
頭が真っ白になるほどの羞恥。だけど、なぜか……震える指先に、ポンポンがなじんできている。

「YUNAちゃん、腰もっと使って♡」

先輩の声が、耳の奥をくすぐる。
背中にふれたその手が、火のように熱い。
一瞬だけ、体がビクンと跳ねた。

こんな格好で……踊って……
100人近くの人にも見られて……
でも――なぜ、こんなに息が荒い?
足がふわふわする。頬が熱い。
視線を浴びるたび、体の奥のほうが……おかしい。

「YUNA、ポンポンもっと高く!」

ステージ脇から娘の声が飛んでくる。
その声が、まるで首輪のように自分を縛る。
俺は父親だ。なのに――彼女に逆らえない。
ポンポンを握る指先が震える……。

パフォーマンスが終わっても、羞恥の余熱は消えない。
肩を叩かれ、褒められて、笑いかけられて――。

鏡の前で、汗に濡れたチアガールが立っている。
それは俺のはずなのに、目が合った瞬間、胸がドキンと跳ねた。

嫌なはずなのに、どこかで……“また踊りたい”とすら思っている自分がいる。


私の新しい人生の扉


1年後、恥ずかしさと戸惑いに身を震わせながら、私はまだ“YUNA”としてステージに立っていた。

はじめはただ、娘に流されるように始まったチアガールの生活。
けれど、可愛らしいユニフォームをまとい、ポンポンを掲げて踊るたびに、自分の奥底に何かが目を覚ましていくのを感じていた。
「恥ずかしい」はずのはずだったのに、なぜか心が軽くなっていた。

逃げるように日常に戻っても、心にはチアガールとしての熱が残り続けた。
男としての自分と、“YUNA”としての自分。どちらが本当なのか、わからなくなっていった。

そして——
私は自分の身体と向き合い、自分の“名前”と向き合う決意をした。

何度も迷い、立ち止まりながら、時間をかけて少しずつ前に進んだ。
娘も満足そうに「本当のパパになれたね!」と笑ってくれた。
妻は静かに頷き、私の手を取った。

そして今——
私は、“由奈”として生きている。
鏡に映る笑顔は、無理に作ったチアスマイルじゃない。

私は私になれた。
あの頃の羞恥も戸惑いも、すべてが“私を知るための一歩”だったのだと、今ならわかる。

YUNAという名前は、私の新しい人生の扉だった。


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