少し変わったパーソナルジム

優しいトレーナー?

ジムに通いはじめて、そろそろ二ヶ月が経つ。

ダイエット目的で申し込んだパーソナルジムは、ちょっと変わっていた。

いつも僕に付いてくれるのは、決まって女性トレーナーが3人。しかもみんな妙に熱心で、毎回僕の体にぴったりと寄り添いながら、息がかかるほど近くで指導してくる。

「ふふっ、いい子ね。胸を張って、お尻はもっとキュッと突き出して。女の子のポージングを意識してみて?」

言葉の端々に妙な違和感があった。でも、運動経験ゼロの僕は言われるがまま。プロの言うことには逆らえない。何より、僕の体はたしかに引き締まってきていた。

ただ、少しおかしい。

全体的に痩せたはずなのに、腰まわりだけが妙に丸く張り出してきている。お尻もぷりっと盛り上がって、パンツが妙に食い込むようになった。胸も……なんだか、膨らんできている気がする。

「これ、普通ですか……?」

そう聞いたときのトレーナーの笑みが、頭から離れない。

「ふふ……うん、順調にスタイルのいい体になってきてるわ」

毎回のように勧められる“特製プロテイン”。トレーニング後の疲れた体に甘く染み渡るそのドリンクを飲み干すと、不思議と頭がふわふわして、何も考えたくなくなる。

今日も、脚トレという名目で、美脚ポーズを取らされていた。

レギンス越しに食い込む尻、汗をかいて密着したトップスの下で柔らかく揺れる胸元。鏡の中の自分が、どこか女の子に見えた。

「すごい、だいぶ綺麗になってきたわね。はいっ、女性ホルモ…おっと、プロテインをどうぞ」

何かを言いかけたトレーナー。こちらが口を開く前に、またプロテインを手渡された。逃げる隙もなく、唇に押し当てられ、そのまま喉へと流し込まれる。

ああ……また、身体が熱くなってくる。

足の内側がピリピリと疼き、太ももが妙にくっつきたがる。胸の先がツンと張って、布越しに自己主張してくる。

「感じてるの? 可愛い……もう、すっかり女の子の身体になってきたのね」

「この腰つき……ショーツが映えるわよ、穿いてみる?」

抵抗しようとしても、体が言うことをきかない。

鏡に映った自分の姿が、女の子のように見えて――

いや、もう“見えて”なんて段階じゃない。ウエストは括れて、骨盤は女の子のように横に広がっていた。胸も、パッドなしで軽く谷間ができるほどに。

やばい。どうなっているんだ。

けど、怖いのに……なぜか、どこかで“このままでもいいかも”って思ってる自分がいる。

「次回から、トレーナーじゃなく“先輩”って呼んでね。あなたも、こっち側に来るんだから」

――えっ、なんの事?こっち側?

なんの事だかわからないが、少なくとも僕の中の”男”が、音を立てて崩れていくのを感じた。

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