セミナー会場は、薄暗い照明と甘い香りに満ちていた。
【3ヶ月で理想の自分になり、恋人ができる講座】
そんな胡散臭い謳い文句に惹かれ、俺はここにいた。20代後半、どこにでもいる会社員。恋人も夢もなく、ただ何か変わりたいと願って、半信半疑で足を踏み入れた。
初日、講師の女性が現れた瞬間、会場が静まり返った。黒いシルクのドレスに身を包んだ、30代半ばと思しき女性。妖艶な微笑みと落ち着いた仕草は、まるで全てを見透かす女王のよう。彼女は長い髪を指で軽く巻き、俺たちを一瞥して言った。
「あなたたち、準備はできてる? 新しい自分に生まれ変わる覚悟は?」
新しい自分? 曖昧な言葉に首を傾げる俺に、彼女は近づき、細い指で顎をそっと持ち上げた。
「ふふ、いい顔してるわ。安心して。3ヶ月で変われるわ」
そのすべてを見透かしたような囁きに、心が震えた。
「恋人が欲しいなら、まずは女性の気持ちを理解する事が最重要だからね。安心して、あなたたちの希望は絶対に叶えてあげるから!」
彼女の自信ありげな言葉に、みな魅了されていた。
――翌日、化粧の時間、彼女は俺の隣に立ち、鏡越しに囁く。
「唇はもっと艶やかに。自信を持って」
彼女の手が俺の唇に真紅のルージュを滑らせ、吐息が耳に触れる。鏡に映るのは、知らない顔。濃いアイライン、柔らかなチーク。自分の鼓動がうるさい。
――歩き方のレッスンでは、ヒールを履かされ、腰の動かし方を叩き込まれた。
「もっと滑らかに、リズムに乗って。少し大げさかと思うぐらいお尻を左右に振って」
彼女の声は穏やかだが、逆らえない力がある。俺の腰に手を置き、ゆっくり動かす。その指先が熱く、身体が勝手にリズムを刻む。ヒールのカツカツという音が、頭を支配した。
――仕草の指導では、彼女が俺の手を取り、髪をかき上げる動作を何度もさせた。
「首を少し傾けて、視線を流すの。自分の魅力を放つ瞬間よ」
彼女の指が俺の首筋をなぞり、ゾクゾクと全身が震えた。気持ち悪いはずなのに、彼女の落ち着いた声と妖艶な笑みに、心が絡め取られていく。
――3ヶ月目の最終段階。講座は異様な熱を帯びていた。彼女は私を壇上に呼び、ブラジャーと詰め物で形作られた胸を揺らす姿をじっと見つめた。
「さあ、最後に自分を解放しなさい。理想の自分を、身体で感じて」
彼女の声が、低く響く。突然、彼女の手が私の胸を掴んだ。ゆっくり、だが力強く揉み始め、指先が執拗に動く。
「ほら、感じなさい。自分の奥に眠るものを呼び起こして」
その手は熱く、柔らかく、まるで私の心まで揉みほぐすようだった。胸の詰め物が揺れ、彼女の指が巧みに圧を加えるたび、身体が勝手に反応する。
「もっと、力を抜いて。自分を委ねなさい」
彼女の声が耳元で囁き、吐息が首筋をくすぐる。恥ずかしさと、初めて味わう快感が混じり合い、私は喘ぎ声を抑えきれなかった。
彼女の手は止まらない。円を描くように、時に強く、時に優しく揉み続ける。
「そうよ、感じてるわね。あなたの中の新しい自分が目を覚ます瞬間よ。みんなあなたが変わる瞬間を見てるわ」
彼女の目は妖しく輝き、微笑みが深くなる。私の頭は真っ白で、身体は熱く、ただ彼女の手と声に支配されていた。
「これで大丈夫!あなたはもう立派な”おとこのこ”よ」
彼女が最後に強く胸を握り、私は小さく叫びながら、膝をついた。
講座の最終日、鏡には見知らぬ姿が映っていた。滑らかな肌、流れる髪、誘うような微笑み。私はもう、元の自分を思い出せなかった。会場を出る際、男が私に声をかけてきた。
「君、めっちゃ綺麗だね。今、予定あるの?」
彼の視線が私の身体を這う。私は微笑み、その手を取った。その夜、彼の腕の中で私は思った。自分に自信を持った、恋人と愛し合う【理想の自分】になれた。そして、恋人もできた。セミナーに嘘偽りはなかった。
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