野球に捧げる…はずだった
大学の正門前は春風と共にざわついていた。僕は少し早く着いた集合場所で、期待と不安を胸に野球部の新歓を待っていた。高校時代、汗まみれのグラウンドで培った日々が、またここで始まる――そのはずだった。
けれど、そこに現れたのは、思いもよらない存在だった。
「そこの君!この後、チアの新歓あるんだけど来ない?」
声をかけてきたのはチアリーディング部の二人組の女子だった。明るく弾む声に圧倒されながら、僕は「野球部を待っている」と答えた。すると、彼女たちは顔を見合わせて少し困ったような表情を浮かべる。
「野球部なら、ちょっと前に定員に達したみたいよ。もう行っちゃったみたいだけど?」
大学生活の計画が崩れ落ちた瞬間だった。言葉を失った僕に、彼女たちは楽しげに微笑む。
「どうせヒマなんだったら、ちょっとだけ覗いてみなよ。損はさせないから!」
予定と大学生活の計画に穴が開いてしまった僕は、彼女たちの後をついていくことになった。
少し離れた所で、野球部がまだ新入生に声を掛けていた事に気が付きもせず…。
チアの新歓会場は、春の陽射しが舞い込む広々とした体育館だった。軽やかに舞う先輩たちのチアパフォーマンスに拍手が響き、新入生たちも次々と自己紹介をしていく。その流れの中、僕にはなぜが紙袋が手渡された。
「これ、うちの伝統で新歓に参加してもらった子にはとりあえず衣装を着て貰うんだよね!」
「でも今回”たまたま”男性用の衣装が準備できてなくてさ。これでお願いね!」
そう渡されたのは、ふわりと広がるスカートにリボンがついた女子用のチアリーディング衣装だった。
「えっ、これを僕が?」
僕の声は震えていた。けれど、周囲はあまりにも自然体で、笑顔で僕を受け入れているように見えた。ここで拒否をして場の空気を白けさせる事も出来ない。断りの言葉が喉の奥に沈む。
ロッカールームでスカートに脚を通した瞬間、僕は自分がまるで異次元に迷い込んだような感覚を覚えた。ふわりとした生地の感触、腰回りを優しく包む独特の締め付け。鏡に映る僕の姿は、まるで知らない誰かだった。心臓の鼓動が速くなり、手のひらに汗がにじむ。
「大丈夫、チア部のみんなは事情を知っているし……」
そう自分に言い聞かせながらも、なぜか僕の胸の奥には得体の知れない高揚感があった。

「みんな今日はありがとうね!記念写真だけ撮るから集合して!」
広報用だという写真撮影。僕はスカート姿のまま、周囲の女子たちに囲まれ、カメラの前でポーズを取った。その瞬間、何かが取り返しのつかない方向に動き出したのかもしれない。
翌朝、目が覚めてスマホを開くと、そこには信じがたい光景が広がっていた。チアリーディング部の公式SNSに投稿された写真――「新入生、ようこそ!」の見出しと共に僕が女子たちと並ぶ姿が、拡散されていたのだ。
通知が鳴り止まない。同じ大学の友人から入る連絡は、皮肉と興味が入り混じり、僕を笑い者にするようなものばかりだった。
「お前、チア部入ったのか?」
「似合ってるじゃん!」
耐えきれない恥ずかしさに部屋から出られなくなった僕。しかし、どうすればいいのかもわからない。逃げ場を失った僕は、気がつけば、再びチアリーディング部の練習場に足を運んでいた。
その日、僕は正式にチアリーディング部に入部した。
スカートの裾が揺れるたび、心臓が高鳴る。この感情が羞恥なのか、それとも別の何かなのか、自分でもまだ答えは出ていない。
一人前になるには…
スカートを翻しながら跳ぶたびに、まだ少しだけ胸の奥がざわつく。
「もう男子用のユニフォームは必要ないよね?正式に廃止しようか」
キャプテンがそう言った瞬間、空気が一瞬止まった気がした。体育館の隅にいた僕は、意味を理解するのに数秒かかった。
「えっ……?」
小さく呟いた声は、誰にも届かない。
「1人だけユニフォームの形が違うと見栄えが悪いし、やっぱチアって女の子らしくスカートじゃないとね!」
当たり前のように言い放たれた言葉に、僕は口を開けたまま固まった。
つい最近、ようやく男子用のユニフォームを用意すると言われたばかりだったのに。
「ちょっと待ってください。僕、最初は男子用のユニフォームがあるって聞いて……」
勇気を振り絞って口を開くと、キャプテンは笑って肩をすくめる。
「でも、もうスカートで慣れてきたでしょ? みんなと同じ方が統一感あるし、違和感もないよ。それに――」
キャプテンは僕をじっと見つめた。
「せっかくここまでやってきたんだから、今さら辞めたりしないよね?」
その言葉に、僕は黙った。
たしかに、僕はもう逃げられない場所まで来てしまっていた。
最初は成り行きで入部したチア部。でも、気がつけば、ここでの生活が当たり前になっていた。
新歓の時に無理やり着せられた衣装も、今では少しだけ馴染んできた。友達もできて、授業もみんなと一緒に取っている。このチア部は居心地のいい、自分の居場所になっていた。
「……わかりました」
搾り出すように答えた。
新しいユニフォームが届いた日、僕はロッカールームでスカートを手に取った。
柔らかな布地の感触が、指先にまとわりつく。
ため息をつきながら袖を通し、慎重にスカートを履く。鏡の前に立つと、そこには確かにチアリーダーらしい姿の僕が映っていた。
でも、何かが違う。
「うーん、やっぱりちょっと浮いちゃうね」
そう言ったのは、練習終わりにロッカールームを覗きに来た先輩だった。
「このままだと、なんか違和感あるっていうか……目立ちすぎるというか……」
「えっ、どういう……?」
「髪、短すぎるし、メイクもしてないから、ユニフォームが浮いちゃうんだよね」
「いや、でも僕、男だから……」
「だからこそ、ちゃんと馴染ませないとダメでしょ?」
先輩は悪びれた様子もなく、当然のように言う。
「せっかく高いお金を払って買ったんでしょ? なら、ちゃんと可愛く着こなさなきゃもったいないよ!」
その言葉が、不思議と僕の心に引っかかった。
確かに中途半端なまま過ごすのは……なんだか悔しい。
だったら、もう少しだけ、ちゃんと馴染んでみようか。
そう思った瞬間、なんだか少しだけ気持ちが軽くなった。
――次の日、僕はドラッグストアの鏡の前で立ち尽くしていた。
「え?、どれ買えばいいんだ……」
目の前には、ずらりと並ぶ化粧品の数々。
メイクなんてまったくわからない僕には、どれもこれも同じに見えた。
すると、後ろからクスクスと笑う声がした。
「やっぱり来たね」

振り向くと、そこにはチア部の先輩たちが立っていた。
「どうせ迷うだろうと思って。ほら、こっちこっち」
先輩たちは当たり前のように僕の腕を引いて、コスメコーナーを案内し始める。
「まずはファンデね。肌を綺麗に見せるのが基本だから」
「チアは写真撮ること多いし、アイメイクはしっかりしないと!」
「リップはこの色がいいかも。ナチュラルだけど可愛く見えるし」
次々と選ばれるアイテムに、僕の頭はパンクしそうだった。
でも、不思議と悪い気はしなかった。
「ほら、試しに塗ってみて」
渡されたリップを恐る恐る唇に当てる。
鏡を見ると、そこには――見たことのない自分がいた。
でも、それは悪くない光景だった。
その日から、僕は少しずつ変わり始めた。
髪を伸ばし始め、メイクの練習をし、ユニフォームを違和感なく着こなせるよう努力した。
「ほら、可愛くなったじゃん!」
先輩にそう言われたとき、僕はふと、自分がどこに向かっているのかを考えた。
これは、ただのチアリーディングのため?
それとも――
答えはまだ出ない。
でも、スカートの裾が風に揺れるたび、僕の心も少しずつ揺れている気がした。
この先、僕はどこにたどり着くのだろう?
その答えを知るのは、まだ少し先のことになりそうだ。
紹介されたバイト先
髪は肩にかかり、指先でふれるたび、柔らかく揺れる。
メイクも、もう”なんとなく”じゃない。鏡の中の僕は、誰がどう見たって、女の子だった。
最初は仮面のように貼りついていたこの姿が、最近は、まるで自分の皮膚になったみたいに馴染んでいる。
チア部の同級生たちと過ごす時間は、どこまでも甘く、眩しかった。
恋バナ、ファッション、ダイエット。
「男」だったはずの僕も、気づけばそんな話題に目を輝かせていた。
こんなふうに変わってしまう自分を、怖いと思う反面、どこか愛しくもあった。
そんなある日。
授業帰りに呼び止めた先輩が、無邪気に笑った。
「バイト探してるって言ってたよね?私のバイト先、募集しているんだよね」
先輩が言うなら、きっといい条件の所に違いない。
僕はろくに話も聞かず、勢いで頷いた。
――そして数日後、案内されたのは、煌びやかなアパレルショップだった。
甘い香りの中、レースやリボンがきらきらと並ぶ空間。
「ここ、私のバイト先!ね、絶対似合うと思って!」
そう言うと、先輩はにやりと笑い、僕を店の奥へと連れていった。
「うち、店員は商品着用がルールだから。ほら、着替えて!」
差し出されたのは、ピンクのレースが付いたカットソーと、ふわふわのスカート。
震える手で袖を通すと、胸元のわずかな膨らみが強調される。
スカートの裾が膝を隠して、それでも心臓の鼓動は隠せなかった。

「大丈夫、大丈夫。めっちゃ可愛いよ!」
先輩に笑われながら、僕は鏡の前に立った。
そこには、照れくさそうに頬を染めた「女の子」が映っていた。
最初のお客さんが声をかけた。
「それ、すごく似合ってますね!店員さんみたいになりたいです!」
その瞬間、胸の奥に、きらりと甘い何かが灯った。
――こんな僕を、赤の他人が”可愛い”と認めてくれる。
戸惑いと、ひそやかな歓び。
その両方を噛みしめながら、
僕は、もっともっと、可愛くなりたいと思ってしまった。
自分でも、もう止められないくらいに…。
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